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いろはにほへと~色は匂えど~
第8章 武道大会
いよいよ試合が始まり、
真っ先に敗退すると思われていた策ノ進が
快進撃を続ける。
いつしか策ノ進を蔑んでいた侍たちの
見る目が変わってゆく。
そしてついに策ノ進は決勝に駒をすすめた。
決勝の相手は長太刀の使い手であった。
策ノ進はもはやこれまでかと腹をくくった。
なにせ長い…
おそらく己の間合いでは
その長い切っ先ならば
自分の懐に届いてしまうだろう。
「いざ、参られよ」
攻めて来いと言われても
己の間合いにする事が出来ず、
膠着状態が続いた。
互いに一歩も動いていないのに
まるで何十里も走ったかのように
汗が噴き出してくる。
「仕掛けよ!」
焦れた殿が試合を動かそうと叱咤する。
「参るぞ!」
攻めてこぬならこちらから仕掛けるとばかりに
相手は長太刀を駆使して
どんどんと袈裟懸けに切りつけてくる。
その攻撃を受ける度に
木刀を持つ手がジンジンと痺れた。
このまま受け続ければ木刀が折れるか、
手がダメになってしまう。
幸いなことに
相手は上段からの攻撃が得意なのだろう。
長い木刀で突かれれば
ひとたまりもないと感じていたが、
突きの攻撃は一度もなかった。