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いろはにほへと~色は匂えど~
第8章 武道大会

『勝機があるやもしれん…』

次の一手で決めてやる…
策ノ進は木刀を腰に納めると目を瞑った。


居合抜きの奥義である。

全神経を耳に集中させる。


そうとも知らずに相手は
「隙あり!」と叫んで打ち込んできた。


上段が得意ならばおそらくこの攻撃も
上から振り下ろし
脳天を叩いて綺麗な一本を取りに来るであろう。


いや、そうあらねばならない。


それ以外の攻撃ならば自分の負けだ…


長木刀の風を切る音がする。

『来た!』

策ノ進は水が渦を巻くように
クルリと身を反転させた。

相手の長木刀が地面を叩く。


「おのれ!」

長い木刀を切り返えそうとするよりも早く
策ノ進の居合いが相手のわき腹を叩いていた。



「一本!!それまで!」

静まりかえった城内に審判の声が響き渡った。



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