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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第6章 【あなたに壊されたい】





一向に埋まらない溝はお互い寄り添う事もなく平行線どころか反発し合うばかりだ。
血が繋がらないんだから当然な訳で。
いきなり10歳の娘を連れて来て養女にすると言われた訳だから納得いかないのもわかるが。




まさか外で愛人との間にこんな大きな子供が居ただなんて寝耳に水だっただろう。
やっと父親が迎えに来てくれたんだとばかり思っていた私も、自身が愛人との間に生まれた子供で母親が愛人だった事にもショックを受けたのが15歳。




本妻である雪江との間には子は授からなかった。
授かれなかったと言った方が正しいのか。
煮えたぎる怒りと憎しみを抱きながら私を受け入れざるを得なかったのだろう。




そして、父が亡くなる前に書き記した遺言書が最大の争いの引き金になったのも言うまでもない。
全財産入るものだと思っていたのでしょう。
妻だから。
看取りもしなかった形だけの妻だが。




「暫く会わないでいたら風俗?頭おかしいんじゃないの?多額の借金でも出来た?お金入ってホストにでも貢いでるの?神楽坂の名前に何傷付けてんのよ!お前はもう神楽坂の人間じゃない!出て行け!!」




深夜の街に響く声。




「これ以上は警察呼びますよ?」




「呼んでみなさいよ!」




後ろからあの時の探偵が止めに入ってきた。
日を改めましょうと宥めてる。




「次は弁護士も入れて会いましょう」とだけ言い残し自宅に入った。
やっと自分だけの居場所を作ったつもりだったけど、見つかってしまったのなら此処も地獄と変わらない。




出来るだけ早い方が良い。












「あっ……ん……まだ早いです……家に来て1分ですよ?」




首筋に這う唇とお尻を撫でる手付きに声が漏れる。
熱い吐息を吐きながら甘く私を呼ぶ。




「紗衣……待てねぇよ、わかってて言ってるだろ?」




玄関先でもう襲われているのには理由がある。
やっとの事で時間を作れたという事と、今日は珍しく堤さんのお家…と言っても寝に帰るだけの家らしいけど。




「俺に早くこうして欲しくてこっち来たんだろ?」ってS発言。
本当はもう自宅には来させない為。
あなたに1ミリも火の粉が飛ばないようにする為だよ。
でもその発想、上手く乗っかってあげる。












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