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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第1章 【業界未経験の需要】
何度鳴き叫び許してと乞うても、その願いが受け入れられる事はなかった。
身体中に爪痕を残して薔薇の花びらに似た印が散りばめられていた。
決して忘れる事のない夜を過ごした。
この世界に引きずり込んだくせに。
身体だけは売らせねぇ、全て俺の支配下だ……なんて耳元で言われたかも知れない。
意識を手放すまで抱き潰されたから曖昧だが堤さんの声が微かに耳に残っていた朝焼け。
後ろから刺青の入った筋肉質な腕に抱き締められている。
夢じゃなかった…………
綺麗な指先に見惚れる。
小指がある事にホッとして、シャワーを浴びるべく起き上がろうとした。
背中に唇が触れてきて肩を抱かれる。
振り返るとまだ熱を帯びた視線が待っていた。
「ダメ……」
近付く唇を拒む。
これっきりにしてくださいと言ったはず。
その場しのぎで言ったつもりではありません。
「紗衣………こっち見ろ」
シーツに包まった身体を起こし距離を取ろうにも引き寄せられるのだ。
甘い香りが漂う危険な眼差し。
溺れたくはない。
主導権は手放すな。
自分を見失ったら全て呑み込まれてしまう。
その目に射抜かれてもなびくな。
「……帰ります」
降りようとする手を掴まれ後ろから抱き寄せられたら「前見てみろ」と耳打ちしてきた。
恐る恐る顔をあげると壁には大きな鏡があってまさに2人の姿が全身映っている。
堤さんの指が口の中に。
もう片方の手は下半身に伸びていく。
脚を閉じようとしたけど抵抗すらさせてくれない。
「よく自分の顔を見ろ、お前、最高に良い女の顔してんだろ?」
頬が赤く染まっていて火照っている。
抱き潰された後とは思えない、まだ……欲しがっている顔だ。
洗脳するみたいに甘い声で囁く。
「正直になれよ……身体はとっくに俺を求めてるだろ?だったら脚閉じるな、そのまま俺に抱かれる自分の姿見てろ」
「そんな……っ」
身体が動かない……全てコントロールされてる。
どうして…?
触れられたところがジンジン火照ってく。
「目逸らすな」