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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第1章 【業界未経験の需要】
そう言う彼女はトモチンとの愛称で他のキャストも掛け持ちしながらバックスペースで身の回りの世話をしてくれている。
私が此処で働き始めて少ししてから新しく着いてくれた子。
普段は大手企業の派遣社員として勤務している傍ら、夜のアルバイトとして此処で出逢った。
笑顔で「こういう世界には飛び込めないけど働いてる人には尊敬しかない」って本気で言う子。
「リリカさん、そろそろ」とボーイさんが呼びに来る。
「いってらっしゃいませ」
「それ恥ずかしいからやめて」
「ハハハ!」
ヒールを鳴らしお客様の待つ部屋へと脚を運ぶ。
ノックしたらもう纏う空気も違う。
仮面の下で口角上げてこう言うの。
「ご指名ありがとうございます、リリカです」
凛々華と書いてリリカ。
その名の通り、凛々しい華でなければならない。
待ち切れない様子のお客様に指定された時間内でたっぷりご奉仕する。
触れないからウズウズしてるね。
私から触ってあげる。
耳に息吹きかけて興奮させたら。
「天国に行きたい?それとも、地獄に堕ちたい?」
そう聞くだけでビンビンだよ?
基本、お客様はもう服を脱がれてる事が多い。
早く抜いて欲しいから。
隣に座ってスカートから覗く黒のデザインストッキングに目を奪われて、腕を絡ませたらたわわな胸が当たって。
白のブラウスから谷間見えちゃってるね。
最近よく着せられる秘書コーデ。
コスプレの1つね。
2人掛けのソファーで組んだ脚を乗せて少しずつ少しずつ懐に入っていくの。
手を握って「冷たいね」と温めてあげると喜ぶ。
キャストには触れられない分、こちらからのアクションはOKだから。
「ベット行く?」
そう言われて拒否するお客様は居ない。
大抵M男でリード出来ないからちゃんと計算して行為に及ぶんだよ。
焦らされるの好きでしょ?
肝心なところ触られないのウズウズしながら感じてるのよね。
「ずっとずっとリリカさんに会いたかった……だから今日楽しみにしてて」
「うんうん、いっぱい予約取るの頑張ってくれたの?」
「3回……ダメだった」
「ごめんね?今日はたくさん甘えてくれて良いんだよ」