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蜜と獄 〜甘く壊して〜
第5章 【絶頂地獄の成れの果て】
はい………すみません。
でも、オナニーだけなんて結局最後は悶々として終わる。
声や顔は見れているのに触れられないなんて拷問ですね。
「とりあえず事態が落ち着くまではお互い禁欲だ」
らしいです。
堤さんの口から禁欲という言葉が聞けるなんてちょっと驚き。
「じゃ……オナニーも禁止ですよ?」
「俺、死ぬぞ」
「どのくらい保つんですか?」
「せいぜい1週間だ」
「あら、優秀」
「え?」
「私はきっと明日の夜……また疼きそうです、我慢しますけど」
「お前……煽るな、客じゃねぇんだぞ」
「一崇さんにだけです、我儘言うのは」
どうしよう、画面越しならいくらでも言えちゃう。
絶対触れられないのわかってるから主導権を握りやすい。
頭を抱える姿も色っぽく見える。
大人の色気半端ないですね。
「何かお前、楽しんでねぇ?」
「アハハ、バレちゃいました?どうぞそちらで悶々としててください、それ見てるのが楽しいので」
「紗衣」
突然アップになるから息を呑んだ。
咥え煙草の煙が鼻をツンとさせないなんてあまり距離を感じさせないで。
「お前は俺が全力で守る、だから安心してお前の道を進め……わかったか?」
急にこの真顔と低い声のセリフは反則でしょ。
はい…と頷くだけで精一杯だ。
ヤバい、泣きそう。
「ちょっとごめんなさい、ヤバいんでこれで失礼します、おやすみなさい!」
「え、あっ!おい!」
まだ何か言いたげだったけど無理やり通話を切った。
すぐに着信あったけどもう出れない。
絶対目の前では泣かないって決めてたのに。
不意打ちはズルいよ。
全然平気なフリさせてもらえないじゃん。
私はリリカだよ!?
No.1になったんだよ?
もっと……強くならなきゃ。
絆されるな。
惑わされるな。
甘えるな。
奮い立たせろ。
突き進め。