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Kiss Again and Again
第8章 それから

 「いちおう・・・ ホテルは とってあるけど」
 「あゆは そんなのは いや?」

 ああ・・・ ごめんなさい。 そうじゃあないのよ。
 そうじゃあなくて 違うやり方で・・・ あなたが他の人と過ごすような時間ではないやり方で あなたをひとりじめしたかった だけ。
 あなたが喜んでくれることなら なんだってかまわない。

 寒さに震えるわたしを抱くように 少し離れたホテルへ急いだ。 わたしのために真剣に急ぐ海が なんだか子供じみて見え 可愛らしくて 愛おしくて わたしも海の身体を 笑いながらコートの上から抱き締めた。

 「ん? なに?」
 「なんか こんなこと 前にもありませんでしたか? 今より ずっと暑かったけど」
 海も思い出したみたいで 笑いながら
 「そんなこと あったね。 真夏に マンションまでふたりで走ったよね」

 あなたは あのとき カートを引きながら わたしの手をとって 汗だくになりながら・・・ 「僕ばっかり」って わたしを驚かせた。 あんな嬉しい驚き、もう ないよね。 たった4ヶ月ほど前のことなのに 時間は ときに 残酷。

 エレベーターを待ちながら 手を擦り合せながら息を吹きかけているわたしに
 「予約したのが遅かったから あまりいい部屋じゃあないんだよ」
 「暖かければ 山小屋だって 感謝できます」

 部屋の一面を占める窓には 遠慮がちの闇を押しやるために ありったけの宝石をぶちまけたような美しい夜景が広がっていた。

 「きれい」
 「ほんとだ」
 「ありがとうございます。 こんな素敵なクリスマスを用意していただいて」
 「思っていたより いい部屋で よかった」
 「もっと 着飾ってくればよかった」 アクアマリンのイアリングに触れながら言う。

 今日のあなたは 魔法使いね。 もっと威張ってもいいのに。

 窓に近づき 温かい抱擁をしながら
 「メリークリスマス。 今までで 一番素敵なクリスマスをありがとう」
 「これから 一番を越えられるクリスマスにしよう」
 不実な恋人が言う。

 整ったベッドの枕には 一輪づつ 真紅のバラがおいてあった。

 「冷え切ったから お風呂で温まろう」

 まだ コートも脱いでいなかった。

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