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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 純子ちゃんの家は まるで華道のお家元の住まいのような平屋建ての大きな日本家屋だった。
 外観とは不釣合いの洗練されたキッチンで お兄さんの樹さんがココアを淹れてくださった。

 「兄はパティシェで 今日は行ってみたいお店があるから、って ケーキ屋さんに向かっている途中だったのよ。 丁度よかった」
 「あ・・・ ごめんなさい。 そんな時におしかけて」
 「別に 兄が一人で行けばいいことだし。 そのココア 飲んでみて。 いいチョコレートを使っているから美味しいと思うよ」
 確かに コクがあり熱すぎずまろやかな口当たりで とても美味しい。

 
 つらいことがあると プリンを作ってくれるおかあさんを思い出した。 
 「100%栄養だから」
 また涙がでた。

 「女、なの?」
 お兄さんが出掛けると TVドラマで観るような和洋折衷のリビングに移動し 純子ちゃんが聞いた。 
 「うん。 その人 鍵を持っていて、ね 二人でいるところに 入って来たの」
 「修羅場じゃあない」
 その声は平淡で落ち着いている。

 「海が 寝室に行け、って言うから わたしは声を聞いただけ。 ドアのところで 言い争っていたみたい」
 「二人が車で出かけたみたいだから そのまま 出てきた」

 マグカップのコーヒーからは まだ湯気が立っていたっけ。 泣き過ぎて 頭痛がする。

 その人の名前が「アリサ」で 医学部の人だとか ”A”というペンダントのこととか キャンパスのカフェテリアでその人に会ったこととか 順不動に 話した。 純子ちゃんは 時折 相槌を打ったり質問したりしながら 静かに聴いてくれた。

 決して 自分が一番だと信じていたわけではないけど。 傷ついていた。

 
 ほぼ話し終わると 奇妙な脱力感に襲われ 眠くなってきた。

 いつの間にか 日が暮れかかり 大正ロマンの香り漂うリビングは 陽の翳りと微かに差し込む西日のせいで 幻想的な世界だ。

 「じゅん・・・ ねむくなってきちゃった・・・」
 「いいよ。 誰もいないから このままソファでひと眠りしたら」

 初めて訪問したお宅なのに 純子ちゃんの言葉に従って ソファに横になり そのまま 眠った。 肌ざわりのいい毛布が身体を覆うのに気がついたけれど 言葉が出なかった。 

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