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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 純子ちゃんとお兄さんの話し声で 目が醒めた。 ひととき 今がいつで どこにいるのか 考えた。 全てを思い出し 起き上がって毛布を畳んだ。

 「起きたんだ」 何もなかったような明るい声。
 「図々しく眠ってしまって ごめんなさい。 お兄さん おかえりなさい」
 ぼんやりそう言うわたしに 樹さんは華やかに笑った。 純子ちゃんのお兄さんだけあって なかなかの美形なのに 今更気がついた。

 「ご飯 できてるよ。 あゆ お腹すいた?」
 「うーーーんと・・・ わかんない・・・」 散々泣いたせいか まだぼんやりしている。
 「今日は 泊まっていくでしょう?」
 「じゅん・・・ 一緒に 寝てくれる?」

 樹さんは また華やかに笑い
 「僕が 一緒に寝てほしいくらいです」
 「あゆ この男にも 気をつけなさいよ。 ロクなもんじゃないから」
 「じゅんほど 乱れていないけど」
 「あーら そうだったかしら。 あゆが聞きたかったら 兄の恋愛遍歴 聞かせてあげる。 なかなかいい話が聞けるから」
 「いや。 脚色無しのを 自ら話したほうが 感動してもらえるんじゃないかな」

 純子ちゃんとお兄さんは仲がよさそうで 愛情たっぷりのやり取りを展開してくれた。 わたしに 気を遣ってくれている。

 「兄が ケーキを買って来てくれたから 後で食べようね」


 「兄とは 6歳違いで 両親が忙しい人たちだったから たつにぃが私の面倒をみて育ててくれたみたいなところがあって。 近親相姦しかねないくらい 仲がいいのよ」
 純子ちゃん・・・ 何気にすごいこと・・・ 言ってるよ。
 「まぁ ちっちゃい頃から 好き放題 女の子を家に連れ込む兄を見ているから それはないけど」
 いやぁ・・・ だったら そんな例え話 しないでね。 既に わたしの中では 樹さんの魅力 失墜してしまったし。

 でも 純子ちゃんが こんなやり方で わたしを元気づけてくれようとしているのは 伝わってくる。

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