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第10章 裏切り

　「浮気されるとね　男は　自分の女を憎むみたい。　でも、女の場合は　浮気した男より　相手の女の方を恨むんだって。　不思議だね」


　「あゆぅ・・・　私ね　毎日　なぁにもせず　ネオンブルーの海ばかり眺めてて　思ったんだ。　地球が誕生してからの期間を一年とすると　人類の歴史は　大晦日の１１時５６分に始まったんだって。　人類は　地球が誕生してから　たったの４分しか存在していないんだよ。　じゃあ　私の人生って　どんだけなの？って。　この苦しみ、って　どんだけ？って。　私の涙なんか　この海原に較べたら　どうよっ、って」

　「そうやって　乗り越えたかな・・・　私の場合は」

　「あゆは　私なんかより　繊細で　世間知らずで」
　「私　あゆを見て思ってたんだ。　この子って　きっと一度も嫌な思いなんか　したことないんだろうな、とか。　だから　こんな風なんだろうなぁって。　でもさぁ　高梨さんがいなくなっちゃった時も　青木先輩がらみで　なんかあったぽい時でも　学食で意地悪された時でも　あゆは　きりりっとあゆのまま、というか」

　「それ・・・　すごいことだと思うよ」

　ううん。　そんなの純子ちゃんのかいかぶり。　わたしは　いつも泣き虫のへたれで　いつも心配ばかりしてもらって　いつも助けてもらって。

　「だから　あゆ　ベッドから降りて　ひとりで寝てね」