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Kiss Again and Again
第11章  兄 妹

 シートベルトをはずして 前に乗り出し ダッシュボードに肘をついた。

 「人間って すごいですよね。 こつこつと長い時間かけて こんなもの造って。 すごく偉大な事業を成し遂げるのに 戦争をしたりもする。 人は 人を殺したりもする。 傷つけて 放り出したりもする。 同じ生き物がやることとは思えない。 人の中にも迷路があるのかしら」

 傷口からは まだ血が滴り落ちている。 はっきりとした痛みがある。
 残酷さは 誰もが持ち合わせているのかもしれない。 でも その残酷さに 自分が打ちのめされるのは いやだ。
 「迷路から 抜け出さなくっちゃ」


 「なぜ いつも そんなに頑張るの? 流されたっていいのに いつも切羽詰った顔をして 張り詰めた糸みたいに。 そんなものは いつかは切れてしまうよ。 あゆちゃんの糸が切れた時には 不思議と僕が居合わせる。 運命かな? 切れた糸の先を 僕の糸と結び合わせれば そこから また人生が続いてゆくよ」

 そんな大人の男の言葉遊びに 付き合えるほど 大人ではないので。 

 「なぁんて ね。 
 今日は すごいチャンスだと思って 駆けつけたんだよ。 傷心のあゆちゃんなら つけ入る隙があるかもしれない、って。 それなのに 待っていると 元サヤもありかも、って 心配になっちゃって。 いやいや、元サヤになったら そんなことはやめなさいって 説得しようとか。 結構 オタオタして 待ってたんだ」

 「そうしたら イケメンくんが出てきて。 あゆちゃんの傷心 決定、と思って 電話したんだよ。 笑える?」

 笑わないけど 樹さんは 笑ってほしいのですか?
 こんなこと 冗談のような明るい口調で 平然と言ってのける。
 今日のことも 冗談にしてしまいたい。


 それは 裏切りを突きつけられ 心が凍っているから?

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