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Kiss Again and Again
第13章 十四夜

 白濁したお湯に浸かると 残っている気だるさに もう一度眠りたくなる。
 空気が澄んでいて 陽差しがやわらかい。

 時折聞こえる小鳥の鳴き声の中 「コケコッコーーー」という声が聞こえて驚いた。
 「鶏ですよね、今の?」
 「なんか この旅館 鶏を平飼いしていて 卵はその鶏のものらしいよ」
 「へぇ・・・ じゃあ 卵は 新鮮で美味しいのですね」

 そういえば 昨日の朝食のとき 樹さんは 卵かけご飯をしていた。

 「なかなか美味しかったよ。 プティングにはあっさりしすぎかもしれないけど」

 樹さんは こんな時でも スィーツのことを考えているんだ。

 「あゆちゃんは 昨日はあまり食べていないから お腹が空いたんじゃあない?」
 「いえ。 そうでもなくて」

 満たされ過ぎていて 空腹を感じない・・・とか?

 「おいで」
 手を引かれて 樹さんの胸の中に納まった。
 「僕の半分くらいしかない。 小鳥だって あゆちゃんより食べるよ」

 ゆっくり力がこめられてゆくのが 心地いい。

 「このままでいたい・・・帰りたくないなぁ・・・」
 わたしも。

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