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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉

 「僕の部屋で食べよう」
 初めて 樹さんの部屋に入った。
 純子ちゃんの部屋よりいくらか広い。 身体が大きいからか 他の目的のためか ベッドも大きい。 いかにも座り心地のよさそうな革張りの一人がけのソファがある。 一番目立つ装飾品は 蓄音機と呼びたくなるステレオだった。 レトロで愛らしいラッパが付いており 黒いレコードが回っていた。 誰もいない部屋で 切なくシナトラが失恋を歌っていた。

 さっきのつけっぱなしのテレビといい ひとりのときに静かなのは 苦手なのかしら? もしかしたら 樹さんは 寂しがり屋なのかもしれない。 

 「朝から 何も召し上がっていなかったのですか?」
 「食欲がなかったから」
 樹さんが 食べないなんて。 やっぱり体調が良くないのだ。

 「樹さん 爪を切ったばかりですか?」
 「うん。 食べるものを扱うから いつも短くしておくんだ」
 「やすりを持っているので 整えましょうか?」
 「へぇ・・・ ありがとう」

 わたしたちは 毛足の長いカーペットの上に直に座り 樹さんの美しい手をとり 爪を整えた。 なんだか親密で 気持ちが安らぐ。

 「あれっ? あゆは?」
 部屋に入ってきた純子ちゃんからは 大きな樹さんの前に座っているわたしが見えなかったようだ。
 「いるよ」
 「服 着てる?」
 「着てるよ」
 「何やってるの?」

 純子ちゃんは わたしが樹さんの爪を整えているのを見ると ほわりと笑った。 珍しい笑顔だった。

 「たつにぃ 車借りてもいい?」
 「いいよ」
 「これから河口湖まで行って来るね。 高田さんが セミナー講師のピンチヒッターで 一緒に行こう、って誘ってくれたから 行って来る。 今日は お泊りだから」

 えっ? 泊まるの? そこまでは聞いていなかったんだけど・・・
 純子ちゃんは 今の間に お泊りの支度をしたようだ。

 樹さんは 伸ばしていた指を ぐっ、と握り締めた。 顔を見ると なんか嬉しそう。

 
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