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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉

 樹さんが作るものは いつも美しい。
 彩りも その姿も 荒らしてしまうのが惜しくなるくらい 美しい。

 「どうしたの? お腹が空いていないの?」
 「なんだか 食べるのがもったいなくて」
 「ふーーーん。 餌付けは ほぼ成功だね。 あとは何をすれば 僕なしではいられなくなるんだろう?」

 笑った。
 一ヶ月も 逢わないでいられる人が言うことじゃあないのですが。

 「ご両親も このお家に住んでいらっしゃるんのでしょう? お仕事は 何をされているのですか?」
 「・・・父は 俳優」
 「あ・・・」

 樹さんに初めて会った時 「見覚えがある」ように感じたのは そのせいだったのだ。
 「俳優」 その言葉で あらゆるピースが繋ぎ合わされる。

 「どうして 今まで気がつかなかったのかしら。 そっくり・・・」

 ただ「俳優」と聞いただけなのに 樹さんと純子ちゃんのお母さんのこと、 純子ちゃんが友達を家につれてこなかったこと、 樹さんが舞台をやっていたこと、 「割といい役をもらった」こと、 その葛藤。 人生のほとんどの時間を 兄妹のふたりで過ごし 成長したこと。 すべてが明らかになってしまう。

 あまりにも重たい事実を告げられ 続く言葉が見当たらず
 「こんなに上手にチキンを焼けるなんて 自慢の息子さんね」

 樹さんは 噴出し 激しく咳き込んだ。
 「あっ・・・ まだ風邪が良くなっていないから」
 「いやいや。 こんなリアクションをされるなんて・・・」
 まだ咳き込んでいる。
 急いでお水のコップを持って来て 背中を撫でた。
 「大丈夫ですか?」
 「あゆちゃん・・・ よく笑わずに・・・いられるね」
 「そう? お水 飲めますか?」

 お水のコップを置くと 樹さんは 座ったままわたしを抱きしめた。
 「うーーーん。 大好き。 もう離したくない」
 「明日は 卒論の面接なので 今日中に良くなってくださいね」
 「えーーーっ 病人をおいて 学校とか 行く?」


 都合よく 病人になれるなんて さずが名優の息子。

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