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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉
 
 「あゆちゃんのご両親は 何をされているの?」
 「うちの父は 公務員です」
 「税務署勤務なんだけど 小さな頃に ”お父さんのお仕事は?”って聞かれたら 公務員だって言うように父から言われました。 母は 父のこと”マルサの男”って呼んでいます」

 樹さんの目が 優しく先を促す。

 「中学生の時に、ね テレビのニュースで 政治家の脱税をやっていて 事務所から税務署職員がダンボールの箱を運び出しているのが映ったんです。 その中に 父もいて ばっちりテレビに出てたんですよ。 ”あっ お父さんだっ”って言うと 母も弟も テレビの前に駆けつけて。 毎日家で会っているのに テレビに出ているのを見たら なんであんなに大騒ぎするのかしら」

 樹さんは 片肘をつき顎をのせた。
 「その時に 父が なぜ公務員という言葉にこだわったのか 少しわかりました」

 「人気ラーメン店の納税申告額がおかしいからって 生ゴミを回収したこともあるらしいです。 わたしは 父が 生ゴミの中から割り箸を探し出して数える仕事で 大学に行かせてもらっています。 とっても感謝しています」

 「こんな 可愛くてセクシィで優しい子を育てるなんて 日本の税務署職員は なんて優秀なんだろう」
 「でも こんな風に かりっとふっくらチキンは焼けないので 日本のパティシェは もっと優秀ですよ」

 樹さんからは 「俳優」と告げたときの打ちのめされたような表情は消えていた。

 わたしたちは 静かな幸福感を全身に纏い 打ち解け 許し合い 労わり合いながら 美味しい食事を続けた。

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