この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後

 月を見上げることが多くなった。
 月は 満ち始めている。 段々 膨らんでゆく月。 
 樹さんは あの約束を憶えているだろうか? もしかしたら あれは約束でさえなかったのかもしれない。 

 ピンキーリングを見つめる。 樹さんは 指きりしよう、と言わなくなった。

 今日は 雲が厚くて 星が見えない。 月も朧で 形がわからない。


 「その日は朝から 雨だった」
 そんな出だしから始まる小説があったような。
 今日は 雨。 朝から 雨。
 冬の雨は きらい。 冷たくて 孤独で きらい。

 甘いミルクティを作ろうとしていたら 電話が鳴った。 樹さんだ。

 「あゆちゃん おはよう。 朝早くにごめんね。 起きてた?」
 起きているから 電話にでているのだけど。
 「デートの日だよ。 憶えてる?」
 「おはようございます。 雨ですね」
 「雨のデート 最高だよね」
 いえ・・・そうは思いませんが。 でも 久しぶりの樹さんだ。 言いたいことを 次から次へと話す、5歳児の樹さんだ。

 「最高のデート日和なんだけど 仕事だし」
 約束はキャンセル?
 「あゆちゃんは 家庭教師の日だし」
 ん? で?
 「仕事が終わるのを お店で待っててくれるとか、 そんなことしてくれるとか、 ないかなぁと思って」
 それで 電話?
 「わたしは心が広いので お店で待っててもいいのですが。 せっかくのデート日和ですし」
 「そっかぁ。 電話してよかった。 じゃあお店で待ってるから。 ごめんね、 朝早くに」

 わたしには 早くはないけれど 樹さんには 早い時間だったんじゃあ・・・
 昨夜 11時に ラインが来ていたのに気がついた。
 「明日の朝 電話します」
 あれは約束だったんだ。 憶えててくれたんだ。 

 うれしい。 こんなことが うれしい。

/464ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ