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Kiss Again and Again
第19章 恋愛事情

 方向音痴のわたしには どこをどう走っているのかわからなかったけど ナビの声に命じられるまま富士山の7合目まで行った。
 車を降りると とんでもなく寒かった。 ほとんどの観光客が建物の中にいる理由が納得できるくらい寒かった。

 「大丈夫? 寒くない?」
 「寒いけど 初めて富士山に登ったのですもの もう少し・・・」
 「神社があるみたいだから 行ってみる?」
 歩き始めると 霧が出てきた。 神社に着くころには霧雨になっていた。 そこで交通安全祈願のお守りを 海のために買った。 自分用には祈願、とだけ書いてあるものを買った。

 「まさか バックミラーに付けたりとか しないですよね」
 「せっかくあゆが買ってくれたのに したらだめ?」
 「笑いものになりますよ。 どこかにこっそりしまっておいてください」

 あのとき。 かすかに湯気の上がるコーヒー。 散らかった仕事用の資料の紙。
 あのとき。 力の抜けた足をひきずり 壁にすがりながら部屋を出た。
 「仲村愛美 いるんでしょう!?」 あの声。

 忘れてはいない。 思い出すと 目が回るようで 身体が震える。

 ただ 捨て犬のように沢山のことを求めながら わたしを見つめる海の目に 時折心が痛む。 傷ついたのはわたしの方のはずなのに まるで自分の方が傷ついているかのように 海はわたしを見る。

 神社の階段を降りるころには 小雨になっていた。
 「急ごうか」

 建物の中に入ると ストーブが焚いてある。 灯油の匂いがする。 冬の匂いだ。 暖房が必要なくらい寒いのだ。
 海は 甘酒を買って来てくれて ふたりでストーブの近くに座った。
 「わぁ あんまいなぁ・・・ 僕には無理かも。 温まるから あゆは飲んで」
 カップを置くと とても自然に 海はわたしの肩を抱き 二の腕あたりを擦り始めた。 驚いて見つめるのに 海は わたしと眼を合わせようとしない。

 きっと はた目には 恋人同士に見える。

 「とっても お似合いでしたから」

 今でも この美しい男と お似合いに見えるのだろうか?

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