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Kiss Again and Again
第20章 初 冬

 海はわたしを見て
 「ごめん。 そんな顔 しないで。 疲れたでしょう? 本当に何もしないから 横になれば」

 できれば ひとつのベッドで眠りたくない。

 しばらく 何も言わず見つめあった。 このまま沈黙が続くと 今日のすべてを台無しにしてしまいそう。
 海は ベッドを ぽんぽんと叩いた。 ためらいは 短かった。 わたしは大人しく横になった。
 「腕枕 する?」
 「いらない」
 背を向けることで 海をはねつけた。

 「電気 消すよ」

 暗くなると 急に 外の音が 聞こえてきた。 憂鬱な雨音がする。 風が 何かをはためかせている音。 不気味なくらい人の気配がしない。
 こんな夜には 誰かと寄り添いたくなるものだ。

 「忘れられないの?」
 何を言っているのかは わかった。
 「それでも 僕と会ってくれるの?」
 間違っているのは わかっている。
 「うれしいけど」
 「ごめんなさい」
 「なんで謝るの?」
 「・・・」
 「僕は 何かの役に立っている?」

 海と会うのは もう止めようと思った。

 「忘れたいの?」

 そんな優しげな声は 聞きたくない。

 「忘れたくないの?」

 どっちなのか わたしにもわからない。

 海が 背中にくっついてきた。
 「お役に立てて うれしいです」

 試すように ゆっくりと 手が伸べられる。

 「雨の音が こわい」
 「こうしていると こわくない」
 不揃いの2本のスプーンのように ぎこちなく寄り添った。
 海の顔が うなじに埋められる。 切なげに ため息をついた。 ぞくり、とした感覚に 慌てて身体を離した。 離れようとするのを 引き寄せる。

 「海・・・ やめて・・・」
 腕を振りほどこうとすると 更にうなじに顔を埋める。

 「あゆ・・・」
 「こんなこと・・・ しないで・・・」


 「あゆは 全部 僕が初めてだった・・・
 全部 僕が教えたんだ・・・
 あゆ・・・ あの頃みたいに 僕がすべて、っていう目で あなただけ、っていう目で もう一度・・・ もう一度 僕をみて・・・」

 そんなこと 無理。
 もう二度と できない。

 もう 愛してないから。

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