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Kiss Again and Again
第20章 初 冬

 「野獣に襲われたあとで 電車で帰るのは きついから やめて」
 「じゃあ ひとりで帰るのはやめる? それなら野獣にはならない」

 わたしたちは 近づきすぎた。
 少しだけ・・・ これくらいなら・・・ と 自分に言い訳して 踏み込む一歩の歩幅が大きする。 

 「ひとりで帰ります。 海の車には乗らない」
 「そんなこと させられない。 第一 考えてみて。 あゆは 最寄の駅がどこか 知ってる? 駅までどうやって行くの?」
 「タクシーを呼んでもらいます」
 「誰に タクシーを呼んでもらうの?」
 「ホテルの人?」
 「どこにいるの? ホテルの人って?」
 「・・・フロント?」
 「ここはラブホだよ。 フロントはないよ」
 「じゃあ 海は どうやって食料を調達してきたの?」
 「教えてあげない」

 ベッドに押さえつけられてするような会話ではなかったけれど 段々冷静になってきた。 海の表情も さっきまでの切羽つまった感じではなくなっている。

 「スマホで調べる! そうよっ。 スマホがあるのだから タクシーだって呼べる」
 「あゆ 充電がなくなったって 言ってなかったっけ?」
 「ありゃ・・・ そうだった・・・」

 昨日 散々ホテル探しと 電話かけまくりで 充電切れだった。 役立たずのリモコン状態だった。

 海は満足気に笑いながら またキスをした。 唇が軽く触れ合う優しいキスだった。
 「あゆは 可愛い」
 もう一度キスすると わたしを解放した。

 「もう少し 一緒にいよう。 いつが最後になるかわからないから 今日は 一緒にいて。 ひとりで帰るなんて言わないで」
 「わたしは 間違っていた?」
 「・・・間違ってないよ。 ただ 優しいだけ」

 それは間違っていた、っていうことよね。
 知ってる。 間違っているのに寄り添わないではいられなかった。 海が求めているものを 小出しに差し出す。
 そして 傷つける。
 傷つけられたから 傷つけていいと思っていた。

 間違っている。

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