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Kiss Again and Again
第20章 初 冬

 会計の時に 割り勘を申し出たら 当分口をきいてもらえなかった。
 湿った下着も気持ち悪かったけど 海の不機嫌さはもっと気持ち悪かった。 海という人間は めったに不機嫌になったりしなかったのに。

 「なにか 怒っていますか?」
 「怒っているわけじゃあないけど」
 「ふてくされているの?」
 「そのほうが近いかな」
 「何か 気に入りませんでしたか?」
 「ホテル代は 男が支払うものだと決まっています」
 「それは 海のお相手の場合でしょう?」

 ああ・・・ わたしは 嫌な女だ。

 「ごめんなさい・・・」

 なぜか 昨日までの和やかさが 今日はなくなっている。 どこかで地雷を踏んでしまったのだ。 この刺々しい空気には耐えられない。 次に信号待ちのときに 車を降りてしまおうか。

 「いや・・・ あゆのせいじゃあない。 あゆのせいじゃあないけど」


 ガソリンスタンドに着いた。 海がコーヒーを買ってきてくれた。
 「海・・・ わたし ひとりで帰った方がよくない?」
 「運転の練習は ギブ?」
 「そうじゃあなくて」
 「僕とは もう一緒にいたくない?」
 「そう」
 「えっーーー そう? そうなんだ?」
 「ずっと そう言っていませんか?」
 「いえ。 初耳です」

 なんとなく 笑った。 
 海も 笑った。
 コーヒーのカップを軽くぶつけ
 「あゆののろのろ運転に カンパイ」

 ・・・あ・・・
 クリスマスに イルミネーションの煌きを浴びながら 海が 魔法のようにシャンパングラスを取り出し プラスチックのグラスをぶつけ合ったことを思い出した。
 ・・・あ・・・
 あのとき 朝 わたしがペットボトルをぶつけたあのとき 多分、海も思い出したのだ。 シャンパンの黄金色 小さな泡粒のような幸せ かわした笑顔。

 「海・・・」
 「ん? なに?」

 あなたは もしかして・・・ 

 「もう 帰りますか? わたしの運転で」
 「あゆの運転で 行きたいところがあります」
 「そこには 美味しいものがありますか?」
 「お腹が空いたの?」
 「我慢できないほどではないけれど 少し」
 「雨もやんだし 紅葉がきれいだし 美味しいものを食べに行きますか」

 よかった。 さっきまでの刺々しさは もう消えている。

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