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Kiss Again and Again
第20章 初 冬

 「こんなだけど うちのトップだったんだよ、こいつ」
 「おれがいなくなったから 立花がトップになれたんじゃあないのか?」
 「はい。 おかげさまで。 引継ぎ後 イイ思いさせていただきました」

 ユニフォームは 汚れているし、充分なアイロンがけもされていない。 かまってもらえていないのだろうに その人からは 疲労も倦怠も感じられない。 かっては証券マンだったらしい顔は見当たらない。 幸せそうな目尻のシワが 今の生活を物語っている。

 「行きたいところがある」と、言っていた。 この人に会いたかったの?

 焼き立てのパンと野菜スープが出てきた。
 「うちで獲れた野菜で作ったスープです。 地卵でオムレツを作るけど それでいい?」
 「はい。 営業時間外なのにありがとうございます」
 「当分 貸切だから ゆっくりしていってください」

 「ん? どした?」
 「お友達に会いたい、っていうのが 意外だったから」
 「友達じゃあないけど」

 いえ。 なにか絆のようなものがありそう。

 獲れたて野菜のサラダと 太陽のようなオムレツ。 海の笑顔。
 「連れてきてくださって ありがとうございます」
 「連れてきてくれたのは あゆでしょう?」
 いつもの海だ。

 元同僚の湯浅さんは 仕込みがひと段落すると わたしたちにコーヒーを淹れてくださり 自分も椅子を引きずってテーブルの近くに座り コーヒーカップを片手に話しに加わった。 ふたりは 株が一晩で紙くずになったこととか お金持ちが どうやってお金を増やしていくこととか 楽しげに語り合い 笑い合った。 こんな爽やかそうな男達が 何十億ものお金を動かすことへの驚きより 海が 最近になく無心に楽しんでいる様子が驚きだった。

 ランチタイムの最初のお客さんが入ってきたのを潮に わたしたちは席をたった。
 「そろそろ嫁が来ると思うんだけど」
 「次回 手土産持参で来た時に 挨拶させてもらうから」

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