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Kiss Again and Again
第20章 初 冬

 海が会計を済ませるのを 黙って従った。 いつもだったら 「ホテル代を出してもらったから」と 支払いを主張するところだけど。 
 湯浅さんに見送られ 何も考えずに助手席に乗り込んだ。
 しばらく走ったところで 「あっ 運転するのだった」と気がついた。
 「また高速で運転すればいいから」

 「あいつは 高卒で トレーダー助手からスタートしたのに みるみる頭角を現して あっという間にトップにのし上がったんだ。 スゴイヤツだよ。 それが こんなところでレストランやっているなんて。 人生はわからないなぁ」
 「とても仲が良さそうでしたね」
 「いや。 会社にいたときは ほとんど付き合いなんかなかったよ」
 「そんな風には見えませんでした」
 「うーーーん。 一年くらい前かなぁ。 突然、飲みに誘われて ”女の子を妊娠させたときにはどうすればいいのか”みたいな相談をされたんだ」
 「えっ・・・ そんなに親しくないのに?」
 「”こんな友達がいるんだけど”調のやつだよ」
 「自分のことなのに 友達がこんなことになっていて、っていう?」
 「湯浅には 僕がそういう経験をくぐり抜けてきたみたいに見えたらしい」

 そうなの? 海には そんな経験もあるの?

 「ないから。 そんな経験は」

 そう? いかにもありそうには 見える。

 「アドバイスなんかできないけど 誠実な行いをしないと 先でも 誠実な人間として生きていけないんじゃないか、って言ったんだ」

 誠実・・・

 「その人と結婚するのかな、くらいに考えていたら 会社を辞めて 奥さんの実家のお店を継ぐことにしたらしい。 驚いたよ。 無謀に思えたから引き留めたりもした。 大口の顧客を結構持っていたし こんなに性に合った仕事を辞めてしまうなんてもったいないと思った。 そしたら ”金を稼ぐのは もう飽きた”ってさ」
 海は 助手席のわたしに笑いかけた。
 「一番難しい人間関係に挑むことにした、と宣言したよ」
 「奥さんを 愛しているからじゃあなくて?」
 「うーーーん。 高校のときから続いていたらしいから それほど強いものはなかったんじゃあないかな。 奥さんが もうどうにもできない5ヶ月になるまで妊娠しているのを言わなかったことに 引っかかってたみたいだし」

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