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Kiss Again and Again
第20章 初 冬


 朝 隣で丸くなって眠っている海の額に頬を当てると 熱い。
 バスルームの外の寒いところで どれだけの時間 ああして座り込んでいたのだろう。 すっかり身体が冷たくなっていた。 その前だって マンションのエントランスでうずくまっていたのだし。

 「お熱 測ってみましょうか?」
 「うん・・・ ごめんね・・・」
 「しんどそう。 寒いおもいばかりしたから」
 「馬鹿だから」
 「じゃあ 風邪じゃなくて もっと悪い病気かしら?」
 「最近は 馬鹿でも風邪ひくらしい」
 「38度8分。 立派に病気ですね。 半熟卵だったら食べられそう?」
 「なにもほしくない・・・」

 わたしを欲しがったりするからよ。

 自分用にコーヒーを淹れ 海には 少量のお粥を作った。 わたしが作れるものの 数少ないひとつ。
 「無理にでも これを食べて お薬飲んで 今日中に治しましょう」
 「ここにいても いい?」

 まさか こんな状態の人を 追い出せないでしょう?

 下半身に毛布を巻きつけ 時々からだに悪寒が走るのか ぶるっと震わせ 何度もため息をつき わたしが見張っているのを時折確認しながら 海は どうにかお粥を呑みこんだ。 渡された薬も飲み またベッドに戻った。 かろうじて一枚残っていた熱醒ましシートを額に貼ると その手を握り
 「ごめんね いろいろ・・・ ありがとう。 おいてくれて」

 肺炎になり 足を怪我したときに 海がしてくれたことに較べると こんなことは足元にも及ばない。
 「今日中によくなって。 それから追い出すから」
 「明日までここにいられるように 今日は良くなりたくないな」

 海は 眠ってしまったようだ。
 この様子では 多分 夜になっても追い出すことはできないだろう。 弱っているものに優しくすることは なぜか心を満たしてくれた。 嘘つき男とセックスしてしまったお馬鹿な過ちを悔やむことを 後回しにもさせてくれた。

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