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女優
第12章 愛子の人生

「なんだいなんだい、
若い二人が情けないねえ」

独り言のように若者を詰ると、
マネージャーがペコペコしながら
「いや、ほんとに申し訳ありません」と
米つきバッタのように何度も頭を下げた。


「お若いお二人には
トーストとか洋食が良かったかしら…」

若女将が安岡の茶碗に
ご飯を盛りながらそう言った。

安岡は少し顔を赤らめながら
若女将から茶碗を受け取る。

受け取るときに若女将の手と安岡の手が重なる。

たちまち若女将の頬に赤味が差す。

しばしお互いを見つめあって、
マネージャーの視線にハッと気付くと

「あ、ごめんなさいね、
今すぐお味噌汁をお持ちしますわ」と言って
そそくさと厨房の方へ去った。


その後ろ姿をジッと見ていたマネージャーが

「なんだか今日の若女将は
腰から尻にかけて妙な色気があるんだよなあ」と呟いた。

伊達にAV嬢のマネージャーをしていないなと
安岡は彼の洞察力の鋭さに感服した。


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