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女優
第13章 その後

「なんだいなんだい二人して、
結局お前達くっついちゃった訳ね」

いつの間にか雑用係に身を落としたマネージャーが
二人の背後に立っていた。


「安岡さんもちゃっかりと定職に有りついて、
結局ドツボにハマったのは俺だけかい」と
悪態をついた。

「安岡さんが何の仕事をしてるのか
知ってるんですか?」

愛子は元マネージャーを問い詰めた。


「愛子ちゃん宛に
この事務所に絵はがきが届いてたよ。
幸せそうなんで癪に障るから
愛子ちゃんには黙っていたけどさ」


そう言うとズボンの尻ポケットから
クシャクシャになった絵はがきを取り出した。

決して大切に扱っていないとは言え、
こうしていつでも取り出せるように持っていたのは
折を見て愛子に渡そうと思っていたのだろう。


絵はがきの写真を見て愛子と近藤は驚いた。

安岡と一緒に写っていたのは
紛れもなくあの温泉旅館の若女将だったのだ。


そして二人が大事そうに抱いている小さな赤子…

『前略…愛子さま、お元気でしょうか?
実は私、あの時の旅館の若女将とデキてしまって…
ついでに子供までデキてしまって…(笑)
今はAV業界から足を洗って、
この旅館の番頭見習いとして働いています。
仕事はキツいけど
若女将と我が子に癒されて頑張ってます。
また機会があれば泊まりに来て下さい』


ミミズが這ったような汚い文字だったが
幸せそうな雰囲気が醸し出されていた。

「ねえ…新婚旅行はこの旅館にしない?」

「いいねえ、俺もそう思ってたんだよ」

見つめ合う二人を追い返すように

「はいはい、掃除の邪魔だよ」と
元マネージャーがほうきを振りまわした。


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