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女優
第13章 その後
『近藤真一? あの撮影担当の近藤さん?』
愛子は吸い込まれるように
ギャラリーに入っていった。
画廊の作品は植物や風景写真がいっぱいだった。
『近藤さん違いかしら…』
安岡が近藤にヌードを撮らせれば
天下一品だとベタ誉めしていた記憶があった。
なので、あの近藤であれば
所狭しとヌード写真の
オンパレードになっていたに違いない。
あの温泉での撮影を最後に
安岡と近藤がAV業界を去ったという噂を
耳にしていた。
浮き沈みが激しいこの業界では珍しい事ではない。
安岡が辞めた事には
もとより気にも止めなかったが、
近藤とは求愛までしてくれた男だったし、
あの撮影旅行の帰りで
お互いにギクシャクして
会話もせずに別れた事が
ずっと愛子の心の中で悔いとなって燻っていた。
ギャラリーを一通り見てから帰ろう…
そう思って奥へ脚を運んで我が目を疑った。
ひときわ大きな写真…
その写真の中で
温泉の湯に浸かり微笑みを浮かべる女…
それは紛れもなく愛子自身だった。
『やっぱり近藤さんだ!』
こんな写真、いつ撮ったのかしら…
カメラ目線でない事から
隠し撮りに違いないけど、
とても美しく撮影されていた。