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女優
第5章 メイク担当の男

新人の女の子の撮影だから
みんな浮き足立っちゃってるね…

メイク担当チーフの前川聡が
愛子の傍に佇みポツンと告げた。


「貴方は行かなくていいの?」

「新人の女の子のメイク?
それならもう済ませてきましたよ。
君が喘いでいた時間にね」

だから今日の仕事はほとんど終わりなのさ。
そう言いながら

「暇だから帰りのメイクしてやろうか?」
と言ってくれた。


願ってもない申し出だった。

自分なりのメイクでもいいのだが、
やっぱりプロにやってもらうと
仕上がりに雲泥の差があった。

「お願いします」

「よし、そうと決まれば早いとこ
シャワーを浴びちゃいな。
あんたの躰、ザーメン臭いから…」

メイク室で待ってる。
そう言い残して前川はスタジオを出て行った。

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