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女優
第5章 メイク担当の男

「愛子ちゃんの唇、凄く素敵だよね」

そう言いながらスマホカメラをズームインさせる。

画面に大写しされた唇…
自分でもチャームポイントだと自負していた。


「少し舌を覗かしてみてよ」

指示通り舌をチロリと出すと
「おお!セクシーだ」と喜ぶ聡…


「せっかくだから動画にしちゃおうっと…」

画面の隅のカメラアイコンが
映写機のアイコンに切り替わった。

こうしてアップで見てみると
その唇は我ながらセクシーだと思った。


「ほら、喋ってみてよ」

急にそんなことを言われても困る…
何を話せばいいのかしら…

「そうだなあ…
じゃあ、キスしてくださいと言ってみなよ」

言われるままに
「キスしてください」と言ってみる。


やだ…その唇の動き…
本当にキスしたくなっちゃう…


「ほら…もう一度…」  

「あぁぁ…キスして欲しいの…」

その刹那、男の手が両肩を抱き、
えっ?と思う間もなくキスされた。

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