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抱き屋~禁断人妻と恋人会瀬
第3章 花守乙帆 39歳①特濃フェロモン妻

「たまには人の経営する旅館に泊まるのも、悪くないでしょう、奥さん」
佐伯が気軽に声をかけたが、乙帆は表情を固くしている。どこか座りが悪そうに、正座した着物の膝頭を擦り合わせた。
「うちは山の…田舎の旅館ですから。こんな大きなところとは、比べ物になりません…」
「それでも旦那様と二人三脚でご実家の旅館を継いで、やってこられたのでしょう?」
と言うと、乙帆は濃い眉をひそめてうなずいた。
「主人はプロのシェフでしたし、頼りになりましたから。…早く亡くなったのはわたしが、頼りすぎたせいですわ」
「そんなに自分を責めることないですよ。ご主人はちゃんと、跡継ぎの息子さんや娘さんも、遺されたのでしょう?」
「はい…オフシーズンですし、今回は息子たちと古い番頭さんが、お宿は見ていてくれます…」
乙帆はそこで、唇を噛んだ。息子の名前を出して少し、後ろ髪を引かれているのか。いつまでも胸にわだかまる罪悪感に目が泳いでいるようだ。
佐伯が気軽に声をかけたが、乙帆は表情を固くしている。どこか座りが悪そうに、正座した着物の膝頭を擦り合わせた。
「うちは山の…田舎の旅館ですから。こんな大きなところとは、比べ物になりません…」
「それでも旦那様と二人三脚でご実家の旅館を継いで、やってこられたのでしょう?」
と言うと、乙帆は濃い眉をひそめてうなずいた。
「主人はプロのシェフでしたし、頼りになりましたから。…早く亡くなったのはわたしが、頼りすぎたせいですわ」
「そんなに自分を責めることないですよ。ご主人はちゃんと、跡継ぎの息子さんや娘さんも、遺されたのでしょう?」
「はい…オフシーズンですし、今回は息子たちと古い番頭さんが、お宿は見ていてくれます…」
乙帆はそこで、唇を噛んだ。息子の名前を出して少し、後ろ髪を引かれているのか。いつまでも胸にわだかまる罪悪感に目が泳いでいるようだ。

