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抱き屋~禁断人妻と恋人会瀬
第3章 花守乙帆 39歳①特濃フェロモン妻
「お医者様から、ピルを頂いていますので、沢山出して頂いても大丈夫ですよ…」

 終わったあと乙帆は、物柔らかく微笑んで言った。

 元々おっとりした女性だが、普段、心張り詰めるものがあったのだろう。セックスのあとはそれがなくなって、朗らかになった。

 乙帆は屈託がなくなり、母性あふれる、より包容力の深い女性になったようだった。

「どうぞ、お先にお風呂へ」

 と、乙帆は佐伯を送り出した。自分の方が汗だくなのに、納得のいく後始末をしてから入るつもりらしい。

「すぐに参ります」


(年上の女性もいいものだな)

 佐伯もいい年だが、まるで弟か、息子のように扱われてしまう。だが、乙帆が相手ならそれもまったく不自然ではない。

「お待たせしました」

 海辺の岩場を模した露天場へ出ると、乙帆はタオルを巻いて入ってきた。何度見てもはち切れそうな、劣情を煽る肉付きである。

「おうちに電話してたんですか?」

 佐伯が聞きにくいことを聞くと、

「さっき娘たちからラインが。旅館の方はいつも通りみたいです。業務連絡だけ、してきました」

「ちょっと寂しかったな」

 湯煙の中でキスを迫ると、乙帆は黙って男の舌を迎えた。

 ねぶるように舌を絡ませて、佐伯はタオルの背中の豊満な線を撫でた。たちまち窒息しそうなほどに、お互いの口の中が熱い吐息で満たされた。

 乙帆の舌は最初はじっとしていたが、やがて佐伯の舌を迎え撃つように、絡み合ってきた。

 とかく羞恥心とためらいが先立つが、どこかに、彼女を夢中にさせるスイッチがあるはずだ。それをゆっくり探し当てるのも、お泊まり旅行の楽しみだ。

「んくっ、んんんっ…」

 唾液の糸を引きながら、口を離したときには乙帆はまた、母親から女の顔に戻っていた。
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