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ネットのプリンス
第6章 秘書の女
彼女は洋介の別れた妻『友美』だった。
「な、なぜ、き、君がここに・・・・」
洋介は狼狽えた。
まさか別れた妻と
こういう形で再開するとは思ってもみなかった。
「それを聞きたいのはこっちよ」
そう言って友美は立ち上がり、
力任せに洋介の頬にビンタをくれた。
「あなた・・・いったい何をしてるの?
こんな・・・体を売るような真似なんかして・・・」
二発目のビンタが飛んでくるのを、
洋介は軽々と友美の腕を取り阻止した。
「ま、待て!!待ってくれ!!
とにかく落ち着いてくれ!!!」
洋介が諭すと、
「そうね、別れた夫が何をやろうと自由よね」
とつぶやき、 再びベッドに腰を落とした。
「寂しかったんだ・・・・」
ポツリと洋介は今までの事を語り始めた。
「財務省のエリート官僚だった男が
ここまで落ちぶれるなんて・・・」
友美は日焼けして精悍な顔立ちになった洋介の頬をそっと撫でた。
先ほどビンタされて熱をもった頬に
友美のか細い指が心地よかった。
「こうしてまた巡り会えたのも何かの縁かしらね・・・お茶でも飲みますか?」
洋介の返事も待たずに
窓際のテーブルに歩を進めて、
ポットから熱い湯を急須に注ぎ始めた。