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猫探偵の恋
第5章 付き合うなんて、無理 by海
のんびり私の歩くスピードに合わせて、
手を繋ぎながら送ってくれる洋平さん。

もう、身体中が心臓になったかと思う程、
ドキドキしていて、
指先からもその鼓動が伝わってしまうのかと思うくらいだった。

ゆっくりした口調で、
話し掛けてくれる。

あんなにだらしないことしちゃったのに、
申し訳ない。

あのまま、寝ちゃえば良かったのかな?


えっ?
付き合ってくださいって言ってる。

でもって、
すごく優しいキス…



私は…

「無理…」って答えた。


だって、私…36歳なのよ?
洋平さん、すごく若いじゃない。
絶対無理。


「なんで?
俺のこと、嫌い?」


嫌いも何も…
私も多分、一目惚れしてる。
特に、その声…。
もう、クラクラしちゃう。


「あっ!
お持ち帰りして無理矢理、ヤラレそうになったと思った?
いや、最初はそう言うつもりはなくて…。
説得力ないか。
ごめん。
本当にごめん」


いやいや、
むしろ、私の方がごめんだよ。
だって、夢だと思っちゃって、
洋平さんの家にまで連れて行って貰って、
積極的にキスしたの、多分私だもん。
そのくせ、「やめて!」とか、
普通、有り得ない。


「じゃあさ、友達からでも良いから。
まりんのペースで付き合って?
あ、呼び捨てしちゃった」


呼び捨てされるの、
心地良い。


「なんか喋って?」


「私…
喋るの苦手で…」


「俺と居ると緊張する?」


「誰と居ても、緊張するの。
ごめんなさい」


「謝らなくて良いよ。
無理して喋らなくても良いから。
じゃあさ、
ライブに来て?
それで、その後、ちょっとだけ感想聞くとかは?
それなら良い?」


私は頷いた。


「良かった。
じゃあ、ライブの時はフリーパスにしておくから、
受付で、俺の名前出して、『まりん』って言ってね?」と笑う。


「ノルマ…あるんじゃない?
大変でしょ?バンド…」


「そんなの、どうでも良いよ。
それより心配なのは…
方向音痴そうなトコと、
他のオトコにナンパされないかだな。
そうだ!
ライブの時は判りやすいトコで待ち合わせして、
連れて行くよ?
だから、携帯教えて?」

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