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猫探偵の恋
第5章 付き合うなんて、無理 by海
「大丈夫よ。
オートロックだし、
私のことなんて、誰も…」


洋平さんが、キスで私の言葉を遮った。

「誰も何?
少なくても俺は、
まりんに一目惚れしたし、
隙あらばって思ってるからね?」


唇を離すと、更に付け加える。

「オートロックだってさ、
一緒にタイミング良く入れば幾らでも中に入れるよ?
だから、気をつけて?」


「洋平さん…
お父さんみたいなこと言ってる」


「じゃあ、帰るよ」


「あの…ありがとうございました」とかろうじて言った。

もうちょっとで、お茶でも…って言いそうになっていたけど、
それじゃあ、誘ってるのと一緒だ。


「おやすみ」と言って、
額にキスをしてくれる。


私は洋平さんの首に腕を回して、
背伸びしながら、唇にキスをした。

少しずつ唇が開いて、
おずおずと舌を絡め合うと、
また、2人の映像がフラッシュバックする。

夢中で貪り合うように深い口づけを交わしていると、
何処か違う空間に居るような気持ちになる。



目を開けると、
私の顔を見つめる洋平さんと目が合ってしまう。

瞳を閉じて、更にキスを続ける。
酸素が足りなくなって、
クラクラしてきてしまうと、
洋平さんがしっかり私を抱き締めてくれる。


肩で息をしながら、
洋平さんの胸に顔を埋める。


「何なの?
この映像…?」


「えっ?
やっぱり、まりんにも見えるの?
まりんに触れてると、
フラッシュバックするみたいに、
色々なモノが見えるんだ。
流石に手を繋ぐくらいでは見えなくなってきたけど、
最初に握手した時も…」と、洋平さんが言った。


確かに私も見えた。
不思議な映像。


「運命のヒト…なのかな?」

洋平さんが呟くと、
もう一度優しく額にキスをして、

「これ以上キスしてたら、
この場でまりんを押し倒すことになるから、
帰るよ。
おやすみ、まりん」と言って、
頭を撫でると、
踵を返して走り去ってしまった。


私はぼんやりしながら、
遠ざかる後ろ姿を見ていた。
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