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猫探偵の恋
第8章 消えたまりんと能力 by洋平
まりんに問い詰められて、
初めて他人に猫と話が出来る能力のことを話してしまった。

特別な能力っていうのは…
信じてもらえないかもしれないけど、
俺は猫と会話が出来ること。

だから、ヤワな飼い猫が家出したくらいなら、
すぐに足取りは掴める。
ボス猫に訊けば、
ほぼ、居場所はすぐに判るから。


でも、直ぐに飼い主に連れて行くことはしていない。
100%の成功率だと、
怪しまれる。

政府機関とかに連行されて、
調べられたりしたら怖いし。
〜そんな機関、あるのかどうかは知らないけど。

残念ながら、
車に轢かれたりしている場合もあるから、
とにかく早めに居所は掴んで、
安全を確保するようにしている。

万が一、不幸にも事故に遭ってしまった場合は、
「見つかりませんでした」と言うようにしている。

轢かれて役所に回収されて、
ゴミのように焼かれてしまったなんて、
飼い主さんには伝えたくないから。

「見つかりませんでした」と言うケースもある。
本人が「帰りたくない」と言う時は、
意思を尊重して、
野良猫としてやっていけるよう、
ボス猫や周辺猫と話をつけたりしていた。


飼い猫の家出の殆どは、
完全室内飼いの甘ったれたヤツが、
「外の暮らしを見てみたい」とか、
「本当の自分はこんなんじゃない」とか言って、
家を抜け出すことが多い。

ベランダから落ちたり、
窓が簡単に空いてたからとか、
大きな音にびっくりして飛び出すような、
うっかりモノも居る。

稀に、酷い飼い主の処から逃げ出したコは、
新しい飼い主の処へ。


俺は、一人一人の話をじっくり聞いてあげて、
どうしたいかを本人に決めさせる。

外を見たいとか、
本当の自分は…と言うヤツは、
大抵、甘ちゃんで、
とても外で暮らしていけるスキルも精神力もないから、
少し外の空気を味合わせてやってから、
飼い主の処は連れ帰ることになる。
去勢もされてて、
喧嘩も碌に出来ないから、
野良猫達と渡り合えるヤツも居ない。
3日もすれば、ギブアップとばかりに帰りたがるヤツが多い。

うっかりモノは、
「早く家に戻りたい」というヤツが多い。
簡単に脱走出来る環境の飼い主さんに、
その辺りを指導する必要もあるし、
心配して貰ってキチンと今後気を付けて貰いたいから、3日目に連れて帰る。

ボス猫からは信頼されてたからこその猫探偵稼業だ。
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