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猫探偵の恋
第9章 再会は突然に by洋平
俺はちゅ〜るを片手に、
昔、何度も通った路地裏に行ってみた。
ボス猫は見つからない。

諦めて帰ろうかと思ったけど、
ふと、まりんの住んでた筈のマンションの跡地に行ってみた。

そしたら、驚いたことに、
更地になってた筈の処に、
マンションが立っている。
あの頃のままだ。


俺は震える手で携帯を取り出すと、
機種変更する度に登録し続けてたまりんの番号を押してみた。
その都度、掛けてもずっと掛からなかった番号だったのに、
コール音がする。

そういえば、まりんが持っていた携帯…
これと同じ形だった。
あの頃、なかったはずのiPhone。


5回ほど鳴ると、
電話は留守電に切り替わった。


「まりん?
まりんなのか?」
俺は夢中で声を上げたが、
それ以上、何も言えなかった。
涙が溢れてしまったからだ。


マンションを見上げてから、
大きく息を吸い込んで、
あの頃と同じ暗証番号を入力すると、
エントランスのドアが開いた。


俺は躊躇わずにエレベーターに乗り込み、
当時と同じ部屋番号のドアの前に立って、
チャイムを鳴らした。


カチャっと鍵が外れる音がして、
ドアが開くと、
懐かしいまりんの変わらない笑顔が、そこにあった。


「えっと…
おかえりなさい」


まりんは少し眩しそうな顔をして言った。


そのまま、部屋に通してくれるけど、
少し脚を引き摺っているようだった。


「あの…」


「取り敢えず入って?
立ってるの、ちょっと辛いから、
リビングに…」と言うまりんは、
本当に昔のまま、ちっとも変わってなかった。



足元で、マロンが、
「にゃー」と言う。

ん?
おかえりって聴こえたような気がした。



俺は混乱しながらリビングに入ると、
当時のままの大きいテーブルに座った。

端には、当時はなかったソファがあった。



「アップルティーで良い?」


「俺が淹れるよ?」


「ありがと」


そう言うと、まりんは座る。
俺は、ケトルでお湯を沸かしながら、
当時と変わらないトコにあるティーポットとカップと紅茶の缶を出す。
金色の缶に入ったフランスの紅茶だ。
ポットやカップは、
ウェッジウッドのワイルドストロベリーの柄。


音立てないように静かに紅茶を淹れると、
トレイに載せたテーブルに運んだ。

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