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猫探偵の恋
第9章 再会は突然に by洋平
「洋平さん、何歳になったの?」

「誕生日が来たら32歳。今は31歳」

「そう。
年齢差が縮んだわね」と、クスクス笑うと、
紅茶に息を吹きかける。
相変わらず猫舌のままのまりんだった。

「これも、夢なのかしら?」

「えっ?」

「私ね、車に轢かれちゃって頭を打って、
暫く昏睡状態だったの。
その時に、洋平さんに、確かに会ってたの。
まだ洋平さん、若くてね?
短い間に、すごくたくさん、セックスしたわ」と、
少し紅い顔で言う。


「昏睡状態から目が覚めたら、
もう、会えなくなっちゃって。
本当に夢だとしか思えなかった。
そしたらね、居なくなってたマロンが突然戻ってきて、
私に言ったの」


…えっ?
俺は不思議な気持ちになった。


「洋平さんと同じ。
猫の声がそのまま、人間の言葉として聴こえたのよ?
もうすぐ、洋平さん、戻ってくるって」


マロンは、素知らぬ顔で身体を舐めてる。


「それと…誰かに猫と話せることを言ったら、
その能力はなくなるんですって?
だから、たった今、
マロンと話せなくなっちゃった」


俺は物凄く混乱しながらも、
なんとなく、そういうこともあるかな?
そう思い始めてた。

猫と話が出来ることだって、
普通は有り得ないことだろう。

時空が歪んだのかなんだかは判らないけど、
何故か昏睡しているまりんと、
若い頃の俺は、
確かに出会って愛し合っていた。


「こんなことってあるのかしら?」と、
困惑しながら笑うまりんは、
ちっとも変わってない。


「それでね、歳の差は縮まったけど、
私、脚の怪我が治らなくて、
そんなんじゃ、やっぱり結婚は無理みたい」


「えっ?なんで?
別にアスリートで走らなきゃいけないわけじゃないよね?」


「歩くのもゆっくりで、びっこひいてるのよ?」


「そんなの、気にしないよ?
子供の運動会とかは、俺が走れば良いし」


「子供の運動会って…」


「えっ?セックス、出来ないの?
んー。それでも良いよ?
キスは出来るよね?」


まりんは耳まで紅くして、
「キスも、それ以上も出来ると思うけど…」


「じゃあ、しよう?
俺、10年待ってたよ?
まあ、禁欲してた訳じゃないけどさ」


そう言って、まりんを抱き上げて、
寝室に運んだ。

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