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猫探偵の恋
第2章 秘密のアルバイト by洋平
バンドメンバーと別れて家に帰った。

家と言っても、単身者向けのワンルームマンションだ。

シャワーを浴びてTシャツとジャージに着替えると、
ランニングがてら、副業の時間になる。


俺は、ちょっと特殊なアルバイトをしている。
うちの大学の学生のバイトなんて、
塾の講師や家庭教師するヤツが殆どだ。
バイト料もそこそこ良い。


でも、俺には特別な能力があるので、
それを生かしてその副業をしている。


『猫探偵』

それが俺の副業だ。


3日が基本料金のプラン。
以後、1日追加するごとに料金加算。
他の処より、良心的な価格にしている。

そして、かなりの確率で、
3日目には依頼主の処に猫を連れて帰っている。

連れて帰るだけなら、
本当はなんなら、当日にでも連れて帰れるけど、
色々あるので、大抵3日目に連れて行くようにしている。



ランニングは、歌う為のトレーニングになるし、
夜行性の猫を探すのは夜に限る。


職質されることもあるから、
携帯で音楽聴きながら走るだけで、
荷物は殆ど持たない。

小分けになってるドライフードと、
学生証と免許証を入れた財布だけはポケットに突っ込んである。

うちの大学の学生証持ってれば、
お巡りさんの心証も良くて、
交番に連れていかれることはない。



これだけで、
家庭教師以上の収入が得られるのは有難い。


バンド活動は金もかかるし、
時間も拘束されるから。



いつもは、猫探しのことを考えながら走ってたけど、
この日は、ライブで会った女の子のことばかり、頭に浮かんだ。


握手した時の、あの不思議な感覚。
踊ってる時の姿。
あどけない化粧っ気のない顔。

凄く会いたい。


それだけじゃなくて…
抱き締めたい。


そう思った。


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