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猫探偵の恋
第2章 秘密のアルバイト by洋平
出番が終わって、物販ブースに戻ってボンヤリしていた。
っていうか、
魂を使い切って歌えた気がして、
放心状態だった。
そしたら、あの女の子が来て、
俺たちのCDを買ってくれると言うから、
一気に心が引き戻された。
CDを渡して両手で包み込むように握手をすると、
彼女も同じようにもう片方の手で俺の手を包んでくれる。
その瞬間に、
何かの映像がフラッシュバックするような感覚になって、
心が何処かに引き込まれそうになった。
ギターのリョウの声で、ハッとして、
手を離して名前を訊いたけど、
教えてくれないまま、
ライブハウスから飛び出すように出て行ってしまった。
まるで、小鳥に逃げられたような気持ちになる。
ふと見ると、
がま口がテーブルにある。
両手で握手しようと、
財布を置いてくれて、
そのまま忘れたんだろう。
俺は慌てて外に出て追い掛けた。
少し離れた処に、彼女は立ち止まっていて、
俺のCDのジャケットを見ていた。
声を掛けたら驚いてそれを落としてしまったので、
拾い上げて、財布と一緒に渡した。
何を言っても、
彼女は曖昧な、少し困ったような笑顔を向けるだけで、
何も話してくれない。
俺だけ、一方的に話をするだけだった。
そして、握手したら、
やっぱり、不思議なことに、
何かの映像がフラッシュバックした。
最後にようやく、
名前だけ、教えて貰えた。
「まりん」
思わず、聞き返したよ。
だってさ、
なんか、漫画みたいじゃん。
まりんって。
あるいは、犬か猫の名前?
まり…かもしれない。
でも、もう一度訊いてもまりんだって言うから、
ハンドルネームなんだろうと思った。
「またね」って、最後に確かに言ってくれたから、
また、会えるんだと思った。
撤収してる時、
「洋平、彼女の電話番号とかは訊けたのか?」と、リョウに言われた。
電話番号を訊くとかも、
思いもよらなかった。
何か、声も少ししか聞けなかったし。
ファンの女の子は、
たくさん居る。
正直、不自由はしないほど居る。
でも、なんていうか、
彼女は特別な何かを感じてしまっていた。
フワフワした気持ちで、呑む誘いも断って、
急いで家に帰った。
っていうか、
魂を使い切って歌えた気がして、
放心状態だった。
そしたら、あの女の子が来て、
俺たちのCDを買ってくれると言うから、
一気に心が引き戻された。
CDを渡して両手で包み込むように握手をすると、
彼女も同じようにもう片方の手で俺の手を包んでくれる。
その瞬間に、
何かの映像がフラッシュバックするような感覚になって、
心が何処かに引き込まれそうになった。
ギターのリョウの声で、ハッとして、
手を離して名前を訊いたけど、
教えてくれないまま、
ライブハウスから飛び出すように出て行ってしまった。
まるで、小鳥に逃げられたような気持ちになる。
ふと見ると、
がま口がテーブルにある。
両手で握手しようと、
財布を置いてくれて、
そのまま忘れたんだろう。
俺は慌てて外に出て追い掛けた。
少し離れた処に、彼女は立ち止まっていて、
俺のCDのジャケットを見ていた。
声を掛けたら驚いてそれを落としてしまったので、
拾い上げて、財布と一緒に渡した。
何を言っても、
彼女は曖昧な、少し困ったような笑顔を向けるだけで、
何も話してくれない。
俺だけ、一方的に話をするだけだった。
そして、握手したら、
やっぱり、不思議なことに、
何かの映像がフラッシュバックした。
最後にようやく、
名前だけ、教えて貰えた。
「まりん」
思わず、聞き返したよ。
だってさ、
なんか、漫画みたいじゃん。
まりんって。
あるいは、犬か猫の名前?
まり…かもしれない。
でも、もう一度訊いてもまりんだって言うから、
ハンドルネームなんだろうと思った。
「またね」って、最後に確かに言ってくれたから、
また、会えるんだと思った。
撤収してる時、
「洋平、彼女の電話番号とかは訊けたのか?」と、リョウに言われた。
電話番号を訊くとかも、
思いもよらなかった。
何か、声も少ししか聞けなかったし。
ファンの女の子は、
たくさん居る。
正直、不自由はしないほど居る。
でも、なんていうか、
彼女は特別な何かを感じてしまっていた。
フワフワした気持ちで、呑む誘いも断って、
急いで家に帰った。