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夜の蝶の物語
第3章 年増のリリーさん
「うん。ちゃんと仕事をしてくれているのは
わかっているよ
でもね、こういう商売は延長をいただいてこそ
儲けがでてくるわけよ」
なんだか奥歯にモノの挟まったような
歯切れの悪い台詞が続く。
「でね、お客様と会話しててさ、
あ~なんかフィーリングが合うなあと思ったらさ
何て言うのかな、その自然な流れでさ、
お客様がもっと喜ぶ事をさ…」
そう言いながら店長は
手で腰を抱くポーズを取って
腰をカクカクと前後に振った。
「はあ?つまり店長は
私に本番をやれというの?」
リリーさんの口から
「本番」というワードが出た瞬間、
店長は「違うの、違うんだよ。
本番なんて僕は一言も言ってないよね?」
そう言って控え室でお茶を呑む
私たち女の子に同意を求めた。
あの店は本番が出来ると噂になった時、
店長が本番を強要したと
思われたくないのが見え見えだった。
「僕はね、リリーちゃんのためを
思って言ってるんだよ
たくさん指名されて、
たくさん延長をもらって…
お互いに儲けようよ~、
これこそウィンウィンの関係ってやつじゃん」