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夜の蝶の物語
第3章 年増のリリーさん
何度も本番をして欲しそうに
説得する店長だったが
「私、絶対に本番だけはしませんから!
絶対にしろとおっしゃるんなら
別のお店に所属させてもらいます!」
と、リリーさんは
あくまでも本番はしないつもりでした。
店長とリリーさんのやり取りを聞いていて
控え室の私と咲桜(さくら)さんは顔を見合わせて
今にも吹き出しそうになるのを我慢していた。
そんな二人のディスカッションを
止めさせるかのように
電話の着信音が鳴り響いた。
「はい!デリヘル夜の蝶々です…
はい、あ、吉井様ですね、
いつもお世話になっております…
はい、では以前と同じく
リリーさんでよろしいですか?
はあ、かしこまりました。
今、ちょうどリリーさんは
待機しておりますので
今すぐにでも向かわせます」
店長は誰もいない壁に向かって
ペコペコと頭を下げた。
「おい!リリー!
数少ないお前を指名してくださる吉井様だ
すぐに行ってくれ」
指名が来たというのに
リリーさんは乗り気ではないようで
「ねえ、誰か代わってよ」と
スミレ達に視線を投げた。