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夜の蝶の物語
第4章 いたぶられる咲桜(さくら)

「でさ、今回の男の事を何か聞いてる?」

咲桜は稲本からお客の情報を得ようとした。


「新規のお客様ですよ。
もしかしたらセレブ…
いや、絶対にセレブですよ」

そう言って稲本がニヤリとした。


「なんで?なんで?
稲本さんは何でセレブだと思うの?」

そう聞くと、稲本さんは鼻の穴を広げて

「今夜はどこのホテルでしたっけ?」
と意地悪そうに尋ねた。


「新帝都ホテルよ」

まあ、確かに大きなホテルだけれど、
あのホテルには何度も脚を運んでいる。

出張組のおじさまたちは
大企業ならよく利用するホテルだ。


「部屋番号は何番でした?」

稲本さんは今にも吹き出しそうです。

「S151よ」

そう言ってあげると

「あのホテルのS番号はね…
スウィートルームなんですよ!」

そう言って、続けざまに

「やりましたね咲桜さん、
こりゃあ、かなりの
チップをいただけますぜ」
と言って、

おこぼれを頂戴しなきゃと
稲本さんはハンドルをバンバン叩いて喜んだ。




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