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夜の蝶の物語
第2章 横暴な客
指定されたマンションの一室に着くと
ニコッと作り笑顔を浮かべながら
ドアホンのボタンを押した。
返答もなく、いきなりドアが開いた。
スミレはペコリとお辞儀して
「本日はご指名ありが」
ありがとうごさいますと言い終わらないうちに
「さっさと入ってドア閉めろよ」と言って
スミレを指名した男は部屋の奥へ歩いて行った。
慌てて男の後を追って
スミレは男が入っていった部屋に飛び込んだ。
たちまちスミレの鼻腔に
ツーンとイヤな匂いが侵入してきた。
ベッドの回りには
コンビニ弁当の容器が所狭しと捨てられていた。
ごみ袋に片付けるでもなく、
中には食べかけのまま
床に中身がこぼれている弁当もあった。
「いくら?先払いでしょ?」
男は財布を広げて札束をこれ見よがしに
見せつけてきた。
「えっと…まったりコースが24,000円で
ダブルのご予約でしたので48,000円になります」
そう言うと、男は財布から
一万円札を数枚抜き取ると
スミレに投げつけた。