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女流作家~君を愛すればこそ~
第10章 別居生活

「ちょっと!晃さん?晃さん!
まあ!どういうつもりなのかしら
電話を切ってしまったわ!」

突然に晃との通話が切れたことで
芳枝はますます怒りを強めた。

『もう、あの二人はダメなのかしら…』

ホーム画面に切り替わってしまったスマホの画面を
芳枝は呆然と見つめた。

「何をギャアギャア騒いでいるんだね」

何も知らない夫が芳枝の剣幕に驚いている。

「騒ぎたくもなりますわよ
晃さんったら、
どうやら浮気をしてるみたいなの」

「浮気の一つや二つは男の甲斐性だろ」

俺たちだって、
そんな荒波をいくつも越えてきたじゃないか。

夫はそう言って隣の布団から
芳枝の布団に移り変わって潜り込んできた。

そりゃあまあ、そうなんですけどね…

そんな風に言葉を濁しながら
夫が自分の布団に潜り込んできたことに驚いていた。

「なあ、母さん、久しぶりにどうだい?」

夫の雅彦が芳枝の胸に手を伸ばしてきた。

「若い夫婦の事だから色々あるでしょうけど
父さんは心配ではないの?」

「そんなことはないさ。
だけど、こちらがどうのこうの言ったって仕方ないだろ。
二人の問題は二人で解決しなきゃならん問題だ」

それはそうですけど…

芳枝は心配で堪らない。
パジャマの中に潜り込もうとする雅彦の手を
芳枝は静かに払いのけた。



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