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女流作家~君を愛すればこそ~
第12章 魔性の女

義母の芳枝から叱責されている途中で
突然に通話が途絶えた。
確認するとスマホのバッテリー切れだった。

これでは叱責に腹を立てて
こちらから通話を切ったように思われてしまう。
それに充電しなければ
桐子への連絡もままならない。

「城島さん、
すまないがスマホの充電器を貸してくれないか?」

「無理よ、充電できないわよ」

「そんな意地悪するなよ」

「だから無理だって。
あなたのスマホ、Androidでしょ?
私のスマホはiPhoneなのよ」

嘘じゃないわよ。
確かめてごらんなさい。
そう言って節子はiPhoneを晃に見せつけた。

「じゃあ、乾電池式の充電器を買ってくる」

そう言って晃がドアを開けようとすると

「やめなさいよ
夜も遅いのに今さら充電して連絡したところで
迷惑になるだけよ
ますますあなたの印象が悪くなるでしょうね」

節子の言うことも一理あると思った。
きっとスマホを充電すると
桐子へ既読スルーとわかっていても
次か次へとメッセージを送信してしまいそうだ。

桐子の性格からして着信音が鳴り響き続けると
返って立腹しそうだった。

「そんなに心配なら
明日、私が様子を見に行ってあげるわよ」

「本当かい?
それは助かる。
ちゃんと僕たちはセックスはしたけど
心まで繋がっていないんだと
釈明しておいてほしい」

わかってるわよ。
悪いようにはしないから心配しないで。
そう言って節子は「うふふ」と妖しく笑った。


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