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女流作家~君を愛すればこそ~
第13章 新たな愛の形
「元をただせば、僕が彼女に手をつけたのが
そもそもの原因なんです
僕が理性を失わずに潔癖であれば
このような結果にはならなかったわけで…」
「まあ、そりゃそうですが…」
じゃあ、被害届は出さないんですね?
そう言って警察官は書類を引いた。
「まあ、お互いによく話し合って
いい方向に話をまとめてくださいな」
民事不介入の鉄則で
晃が被害届を出さない限り
警察としては動きようがございませんと
とっとと帰りやがれという態度にかわった。
警察署の玄関で待っていると
お灸をすえられて無罪放免になった城島節子が
背を丸めて体を小さくして夫妻の前に現れた。
節子は二人の姿に気づくと
人目をはばからずに土下座して侘びた。
「ちょっと節子さん、やめてくださいよ」
夫妻は左右から節子の脇を抱いて
土下座をやめさせた。
「謝らなければいけないのは僕の方です」
ごめんなさいと腰を90度に折って
晃は深々とお辞儀をした。
「とりあえず車に乗りませんか?」
いつまでも警察署の前で
話し込むわけにもいかないので
桐子は夫の晃と
担当編集者の節子に
車に乗ることを勧めた。
ごめんなさい、ごめんなさいと謝る節子に
「もう忘れましょ
元々、うちの主人が
あなたにちょっかいを出したのが
原因なんですもの…」
その事で提案があるんだけど…と
晃がポツリポツリと自分の考えを話し始めた。