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女流作家~君を愛すればこそ~
第4章 結婚
それから一ヶ月後に菱沼と桐子は入籍した。
母の芳枝は桐子の花嫁姿を見たいと拗ねたが
当時、連載を5本も持つようになった桐子は
わずかな時間も惜しかったので
花嫁姿はもちろん、結婚式も挙げなかった。
そんなわけで、入籍をしたものの
桐子には妻になったという実感が
まったくなかった。
桐子を全面的にサポートすると宣言した通り
菱沼は掃除、洗濯、料理と
あらゆる面で助けてくれた。
そして、ついには出版社を退職して
専業主夫になると言い出した。
もちろん家計の上では
菱沼のサラリーを遥かに越える
原稿料と印税があるので
菱沼が退職しても全然苦にならなかった。
問題は夜の夫婦生活だった。
桐子たち二人は新婚にして
セックスレスの夫婦になっていた。
きっかけは桐子が悪いのだった。
締め切りに追われていた桐子は
夫の晃の誘いを断った。
あれ以来、夫の晃は桐子を求めてこなくなった。
申し訳ないと思う反面、
今は原稿を書くのが楽しくて仕方なかった。
作家として菱沼桐子は脂が乗っている女だった。