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女流作家~君を愛すればこそ~
第1章 序章
… 男は女を抱き寄せ、優しく口づけをした。
二人の唇が重なった瞬間、時間が止まった。
朝食を食べた後だったので、
その唇は仄かにハニートーストの味がした。
「もう君を一生離さないよ」
男の言葉に女はうなづき、その厚い胸板に顔を埋めた …
完結
菱沼桐子は最終稿をメールに添付すると
出版社の担当者へ送信した。
ほどなくして担当者の城島節子から
桐子のスマホに連絡してきた。
『先生!いいじゃないですか!
今度もまた重版出来(じゅうはんしゅったい)
間違いなしですよ』
ペラペラと数分に渡り
賛辞を桐子に投げ掛けて
通話は終了した。
女子大に通っているときに
趣味で書いていた小説を出版社に投稿し、
それが小説専門の月刊誌に掲載されるやいなや
人気に火がつき、単行本化され、
年末には、その年の新人賞を総なめした。
清純な恋愛小説を好む女性たちから
絶大な支持を得て
桐子は押しもおされぬ文芸小説家として
今の地位を確保した。