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女流作家~君を愛すればこそ~
第8章 帰国
晃はリビングの壁に取り付けられている時計に目をやった。
さきほどから、
このような行為をずっと繰り返している。
「そんなに桐子の帰国が待ち遠しいのなら
成田まで迎えに行けばいいのに」
義母の芳枝が帰り支度をしながら
晃がソワソワしているのが可笑しくて
迎えに行けとけしかける。
『迎えに行きたいのはヤマヤマだけど
かといって、あの女と顔を合わしたくないし…』
何で今回の取材に城島女史が付いていくんだ!
編集には他に優秀な人材がいるだろうに…
それに義母と関係ししまった自分は
まともに桐子の顔を見れるのか?
義理とはいえ
親子でセックスをしてしまったんだぞ
それに心ならずも俺は
芳枝に惚れてしまったのだから余計にバツが悪い。
「あ、そろそろ帰国便が到着するわね」
晃の思いを知ってか知らずか
芳枝は、久しぶりに桐子に会えるから
嬉しいでしょ?と
晃の心を逆撫でするようなことを言った。
「じゃあ、私、帰るから。桐子に宜しくね」
「桐子が帰ってくるまで
待てばいいじゃないですか」
「新幹線の時間がね…
もう切符を買ってしまってあるし…
それに駅までのタクシーを頼んじゃったし」
帰る時間だと言いながら、
芳枝はなかなか腰を上げない。
芳枝だって肌を合わせた晃との別れが辛いのだ。
「駅まで送りますよ
タクシーはキャンセルすればいいじゃないですか」
「それは変でしょ、妻より義母を優先するなんて」
いいの、いいの、気を使わなくても
そう言って芳枝はタクシーが迎えにくると
名残惜しそうに帰宅の途についた。