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女流作家~君を愛すればこそ~
第8章 帰国
義母が帰ったあと、
晃はもう一度各部屋をチェックして回った。
よもやとは思うが
芳枝と愛し合った痕跡が残っていれば
ヤバい事になると思ったからだ。
しかし、そこは年の功というか、
義母がそんなヘマをするはずもなく、
寝室、キッチン、バスルーム、トイレと
それは見事に清掃が施されていた。
ただひとつ、洗濯かごに
ショーツが一枚だけ残っていた。
『お義母さん、トランクに入れるのを
忘れたんだ…』
てっきり忘れて帰ったんだと
ショーツを手に取ると温かい!
どうやら帰り際に脱ぎ捨てていったようだ。
『置き土産ってやつですか…』
晃はショーツを鼻に押し当てて匂いを嗅いだ。
昨夜、愛し合った芳枝の股間の香りが残っている。
晃は香りが消えないように
それを大切にビニール袋にしまって
クローゼットの戸棚に隠した。
ほんとは、新鮮な匂いを嗅いで
オナニーに興じたいところだったが、
玄関から「ただいま~」と
桐子の華やいだ声がした。
「おかえ…」
桐子を出迎えに玄関に行って
晃は言葉を失い立ちすくんだ。
桐子の背後に、
大嫌いな城島女史が立っていたからだ。
「なにボーッとしてんのよ!
まさか城島さんの顔を
忘れちゃった訳じゃないんでしょ?」
旅立つ前に、
あれほど城島女史と顔を合わせたくないと
力説したのに
なぜ家に連れてくるんだと晃は愕然とした。