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夢の異邦人(エトランゼ)
第11章 同棲生活

翌朝、ろくに荷物も持たずに家を出たので
身の回りのものだけを取りに有里は大牟田に頼んで家まで送ってもらった。
「すぐに用意をするから待っててね」
そう言って車内でキスをしているところを
娘の有紀に見られてしまった。
有紀も登校の準備のために
家に帰ってきたところだったのだ。
「ママ!何をしてるのよ!」
窓の外でわめく有紀の声に
有里はハッとして大牟田から離れた。
違うの!有紀ちゃん、これには理由(わけ)が…
言い訳を取り繕うとしたが
有紀は小走りでマンションに逃げた。
「待って!有紀!」
ここで待っててねと大牟田に念を押して
有里もまた有紀の後を追うように
マンションの部屋を目指した。
部屋の中では夫の義孝がベッドの中で
不倫相手の留美子と抱き合って微睡んでいた。
有里が家を飛び出してから
しばらくは帰って来ないだろうと目論んで
夜中に留美子を呼び出していたのだ。
そこへ玄関の鍵が解錠される音がしたものだから
義孝は慌てた。
「何?どうしたの?」
出勤前にもう一度愛し合おうと
ベッドから飛び出ようとする義孝を
再びベッドの中へ引きずり込んだ。
「待て!妻が帰ってきたかもしれない」
そう告げると留美子はあわててベッドの中へ潜り込んだ。

